医療用大麻とは

医療用大麻とは

近年、医療分野における大麻(医療用大麻)の利用が注目を集めています。

現在、50以上の国と地域が医療用大麻を合法化しており、その治療効果や健康への影響についての研究が盛んに行われています。(2023年9月時点)

日本も例外ではなく、大麻由来の医薬品「エピディオレックス」の治験が国内でスタートするなど、徐々に変化の兆しが見えてきました。

しかし、ほとんどの人々が、医療用大麻の具体的な内容や効果、さらには合法化に向けた現状や課題について十分に理解していないのも事実です。

この記事では、医療用大麻に対して疑問や関心を持つ方々に向け、基本的な知識や使用目的、効果、そして法的な位置づけについてわかりやすく解説していきます。

医療用大麻とは

 

大麻の大分類

大麻はその用途や形態によって、大きく3つに分類されます。

嗜好用大麻 リラックスや娯楽を目的として使用される大麻。主にTHCという成分が多く含まれ、ハイになる効果が求められます。
医療用大麻 特定の病気や症状の治療・緩和を目的として使用される大麻製品。例えば、難治性てんかんや抗がん剤の副作用の軽減などに使用されることがあります。
産業用大麻 繊維やオイル、建築材料、食品などの原料として栽培・利用される。ヘンプと呼ばれることが多い。

 

医療用大麻は、疼痛や炎症、痙攣、食欲不振など、特定の疾患や症状の治療のために使用される大麻です。

使用が合法的に認められている国や地域でのみ、医師の処方に基づいて提供されます。 

 

医療用大麻の種類

医療用大麻も、その形態によって大きく3つに分類されています。

日本国内では、ヘンプ由来CBD製品の購入は可能ですが、それ以外のカンナビノイド医薬品や大麻草由来製品の入手は法律で厳しく禁止されています。

大分類 小分類 概要

カンナビノイド医薬品

合成カンナビノイド製剤 化学合成されたTHCなどが主成分
天然カンナビノイド製剤 大麻草由来のCBDやTHCなどが主成分

ヘンプ由来CBD製品

(サプリメントや食品としての位置付け) ヘンプから抽出したCBDを用いたオイルなど

 大麻草由来製品

大麻草を乾燥させたハーブ製剤など

 

現在、治験が行われている「エピディオレックス」は、カンナビノイド医薬品および天然カンナビノイド製剤に分類されており、承認されると日本初の大麻由来医薬品となります。

 

医療用大麻とCBD

CBDとは

CBD(カンナビジオール)は大麻(ヘンプ) から抽出される成分のひとつで、カンナビノイドと呼ばれる生理活性物質群に分類されます。

カンナビノイドは既に150種類以上見つかっており、CBDの他にもTHCやCBN、CBGなどが有名です。

医療用大麻とCBDの違い

医療用大麻は大麻の分類上の名称で、CBDはあくまで大麻に含まれる成分の一つに過ぎません。

レモンにビタミンCが含まれているように、大麻の中にCBDが含まれているイメージです。

 

 

エピディオレックスについて

 引用元:Cannabis-based drug for epilepsy to be fast-tracked into NHS

 

エピディオレックスについて

エピディオレックスは、CBD(カンナビジオール)を主成分とする医薬品であり、難治性てんかんを治療するために開発されました。

米国食品医薬品局(FDA)によって承認された、大麻由来の純粋なCBD製剤です。

難治性てんかんにおける発作の頻度を有意に減少させる効果が示されています。

 

対象の疾患

エピディオレックスは、以下のてんかんに対する治療として承認されています。

  • ドラヴェ症候群:乳幼児期に発症する重度のてんかんで、多くの異なる種類の発作を伴います。
  • レノックス・ガストー症候群:早い時期に始まるてんかんで、さまざまな種類の発作が現れます。

これらの疾患は、従来の治療方法に反応しづらく、治療が困難であるため、エピディオレックスの承認は多くの患者や医療従事者にとって希望の光となっています。

 

 

市販のCBD製品との違いは?

「エピディオレックスが純CBD医薬品ならば、市販のCBD製品ではダメなの?」と疑問に思われる方もいらっしゃいます。

エピディオレックス(カンナビノイド医薬品)と市販のヘンプ由来CBD製品は、品質や安全性の面から大きく異なります。

  エピディオレックス 市販のCBD製品
品質 厳格な製造基準と品質試験を通過した製品であり、そのCBDの純度や含有量が確保されている 製品の品質やCBDの含有量は、製品によってばらつきがある場合がある
法律 承認後、特定の疾患の治療を主張することができる 大部分がサプリメントやウェルネス製品として販売され、特定の疾患の治療を主張することは法的に許可されていない

安全性

臨床試験を通じてその安全性と有効性が評価されている 厳格な臨床試験のデータは提供されていない

費用

市販の製品と比べて価格が高いことがありますが、医療保険が適用される 製品によって価格帯に幅があり、 医療保険の適用を受けることは難しい

 

これらの違いから、エピディオレックスは、特定のてんかんの形態の治療に関して、科学的な根拠に基づく安全で効果的な選択肢と考えられます。

一方、市販のヘンプ由来CBD製品を使用する際には、製品の品質や安全性について十分な情報を得ることが重要です。

   

医療用大麻の法整備

日本における医療用大麻

現在、日本で医療用大麻の使用は合法ではありません。(2023年9月時点)

現行の大麻取締法では、「大麻から製造された医薬品を施用し、又は施用のため交付すること。」「大麻から製造された医薬品の施用を受けること。」が禁止されています。(大麻取締法 第4条)

エピディオレックスの治験は厚生労働省の特別な認可のもとで行われており、承認に向け、現行の大麻取締法の改正について議論が進められています。

2023年秋の臨時国会にて改正案が提出される見込みとなっていますが、法案の可決や公布、治験結果を踏まえた承認審査など道のりはまだ長そうです。

世界各国における医療用大麻

多くの国々で、医療用大麻の使用が合法化されています。

これらの国々では、医療用大麻は、特定の疾患や症状の治療のために医師の処方に基づいて提供されます。

地域 医療用大麻が合法な国
北アメリカ アメリカ(州で異なる)、カナダ、メキシコなど
中南アメリカ パナマ共和国、チリ、コロンビア、ペルー、ウルグアイ、アルゼンチン、ブラジル、ジャマイカ、コスタリカなど
ヨーロッパ

ポルトガル、ベルギー、オランダ、イギリス、スペイン、フィンランド、ドイツ、ギリシャ、イタリア、ポーランド、スイス、チェコ、デンマーク、ジョージア、ルクセンブルク、キプロスなど

中東・アフリカ

ウクライナ、イスラエル、レバノン、レント、ジンバブエ、ザンビア、マラウイ、モロッコ、ルワンダ、南アフリカなど

アジア・オセアニア

グアム、韓国、タイ、オーストラリアなど

 

以上、医療用大麻の基礎知識やCBDとの違い、効果、法的な位置付けについてご紹介しました。

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