医療大麻とてんかん

医療大麻とてんかん

てんかんとは

どんな症状?

てんかんは、脳の神経細胞において繰り返し発生する発作を特徴とする疾患で、年齢、性別、人種を問わず発病します。

世界保健機関(WHO)によれば、てんかんは「脳の慢性疾患」であり、多くの臨床症状や検査の異常が見られることが特徴です。発作は大脳の電気的興奮の場所により異なり、患者ごとにほぼ同じ発作が繰り返されます。

また、乳幼児期から老年期にかけて広範に発症し、特定の年齢層では発病が増減します。特に、小児てんかんの患者の中には、成人になる前に回復することもありますが、多くは治療を継続することが求められます。

原因は?

てんかんの原因は、脳内の電気信号が過剰に発生することにより、脳の機能が乱れ、体の動きがコントロールできなくなることにあります。

この過剰な電気的興奮は、通常、脳の神経細胞の興奮と抑制のバランスが崩れることによって起こり、特に大脳の特定の部位で発生すると、発作の症状が現れます。

てんかんの種類

てんかんは主に「特発性てんかん」と「症候性てんかん」に分類されます。

特発性てんかんは原因不明で、遺伝の可能性が指摘されており、一方の症候性てんかんは脳の障害や損傷によって起こるもので、出生時のトラブルや低酸素、脳炎、髄膜炎、脳出血、脳梗塞、脳外傷、アルツハイマーなどが原因とされます。

発作は脳内の電気信号の過剰な発生によって起こり、発生部位によって症状が変わります。

現状の治療方法

現在の主な治療方法は、抗てんかん薬の服用です。これにより、多くの患者が発作をコントロールできるようになります。

しかし、全ての患者が薬による治療で発作を完全に抑えることはできません。

現在の治療法では十分な効果が得られないてんかん症状は「難治性てんかん」と呼ばれており、ドラべ症候群やレノックス・ガストー症候群などがあります。

医療大麻とCBD

医療大麻とは?

医療大麻は、疼痛や炎症、てんかん、食欲不振など、特定の疾患や症状の治療のために使用される大麻です。

使用が合法的に認められている国や地域でのみ、医師や医療機関の処方に基づいて提供されます。

THC(テトラヒドロカンナビノール)やCBD(カンナビジオール)などの成分が、神経系に作用して症状を緩和する効果が報告されています。

てんかん患者にとって、医療大麻は発作の頻度や強度を減らす可能性があり、注目されている有効な治療法の一つです。

現在、日本では、難治性てんかん患者向け大麻由来の医薬品「エピディオレックス」の治験が実施されています。

エピディオレックスとは?

エピディオレックスは、カンナビジオール(CBD)を主成分とする、てんかん治療薬としてFDA(アメリカ食品医薬品局)によって承認された最初の薬です。

この薬は特に、ドラヴェ症候群やレノックス・ガストー症候群といった難治性のてんかん形態に対して有効であることが臨床試験で示されています。

エピディオレックスは、合成CBDではなく、大麻植物から直接抽出されたCBDを使用しています。そのため、天然のCBDの治療効果を最大限に活かすことができるとされています。また、この薬はTHC(テトラヒドロカンナビノール)をほとんど含まないため、向精神作用の心配はほぼありません。

その効果と安全性が認められたことから、アメリカをはじめとする国々で、難治性てんかんの治療薬として使用されています。

CBDとは?

CBD(カンナビジオール)は大麻(ヘンプ) から抽出される成分のひとつで、カンナビノイドと呼ばれる生理活性物質群に分類されます。

カンナビノイドは既に150種類以上見つかっており、CBDの他にもTHCやCBNやCBGなどが有名です。

CBDは医療や健康分野で特に注目を浴びており、研究によると睡眠改善、抗不安、抗てんかん、神経保護、抗炎症、抗酸化、鎮痛などの作用が示されています。

また、依存性がなく、安全性が高いということがWHOの報告書でも示されており、危険な副作用もほとんど報告されていません。

なお、大麻が人をハイにするのはTHCという成分に由来しており、CBDにこのような作用はありません。

CBDとてんかん治療

治療のメカニズム

CBD(カンナビジオール)は、体内のさまざまな受容体と相互作用し、その効果を発揮します。てんかんの文脈では、主にカンナビノイド受容体CB1およびCB2などとの相互作用があります。

これらの受容体はエンドカンナビノイドシステムの一部であり、これは気分、記憶、痛みなどのさまざまな生理的プロセスを調節する重要な役割を果たしています。

CBDとこれらの受容体との相互作用により、神経伝達物質の活動の調節が可能となり、これがてんかん発作の特徴である過剰な神経の興奮を減らす可能性があります。

メリット

さらに、CBDはてんかん治療においていくつかの利点を提供することで知られています。

1. 発作からの保護
特定の受容体と神経伝達物質の活動を調節することで、CBDは潜在的な発作から保護を提供することができます。

2. けいれんの緩和
CBDは、てんかん発作中によく起こるけいれんを緩和することが観察されています。

3. 神経保護
CBDは神経細胞を損傷から保護する助けとなる可能性があり、これは反復する発作中に神経細胞損傷の可能性があるため、重要な利点となる可能性があります。

4. 脳活動の調節
脳の過剰活動はてんかんの状態の特徴であり、CBDはこの過剰な脳活動を調節する助けとなる可能性があります。

5. 脳炎症の減少
炎症はてんかんと関連しているもう1つの側面であり、CBDは抗炎症特性を持っており、これにより脳炎症を減少させる可能性があります。

6. 脳内でのGABA活動の促進
GABAは、脳活動を鎮める効果を持つ神経伝達物質です。CBDは脳内でのGABA活動を促進し、これはてんかんの症状の管理に有益である可能性があります。

研究紹介

近年、CBDが難治性てんかんの治療に効果的であることを示す研究が増えています。

医療用大麻やCBDの安全性

購入時の注意点

CBD製品を購入する際は、含有量や製品の純度を確認することが重要です。また、信頼性のあるメーカーや販売店からの購入をおすすめします。

使用時の注意点

CBDを使用する際は、医師や薬剤師との相談を行うことが重要です。特に、他の薬との併用時には、相互作用のリスクが考えられるため、注意が必要です。

まとめ

この記事では、てんかんの基本的な情報から、現行の治療方法、さらにはCBDと医療大麻の利用まで幅広く解説しました。

てんかんは神経細胞の過剰な興奮により発生する発作を特徴とする慢性的な脳の疾患であり、現在主流の治療方法は抗てんかん薬の服用です。

しかし、全ての患者に効果があるわけではなく、特に難治性てんかんにおいては新たな治療法の模索が続いています。

医療大麻とCBDは、てんかん治療の新しい可能性を示しており、特に難治性てんかんに対するCBDの効果が近年の研究で注目されています。

医療大麻やCBD製品を利用する際は、法律の範囲内で、そして医師や薬剤師との十分な相談のもと、製品の含有量や純度を確認し信頼性のあるメーカーから購入することが重要です。

この記事がてんかんの理解と、医療大麻やCBDによる治療の選択肢を検討する一助となることを期待しています。

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