ヘンプシードオイルと肌
今回はCBDではなく、ヘンプシードオイルについてのお話です。
CBDバーム"CHARM"にも配合されているヘンプシードオイルですが、今回はその特徴と皮膚との関係をご紹介します。
ヘンプシードオイルとは
ヘンプシードとは、文字どおり"麻の実"のことです。身近な調味料としては、七味唐辛子の中に入っています。
この麻の実から抽出される油が「ヘンプシードオイル」になります。
ヘンプシードオイルは、その高い栄養価からスーパーフードとして注目されています。
以下に、ヘンプシードを構成する各成分と割合グラフを示しました。
図1. ヘンプシードの成分と各割合 (文科省食品成分データベースより)
ヘンプシードは高たんぱくで、すべての必須アミノ酸や食物繊維、マグネシウム、亜鉛、鉄、銅が豊富に含まれています。
また、体内で合成できないオメガ6脂肪酸(リノール酸)とオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)を3:1という理想的なバランスで含んでいます。
この栄養価の高いヘンプシードは、オーガニック食品愛好者やベジタリアンなどを中心に人気の食材です。
なお、ヘンプシードオイルは熱に弱いので、加熱調理には向きません。
そのため、サラダのドレッシングやスムージーに加える、あるいはパンに塗ってそのまま味わうといった使い方が一般的です。
ヘンプシードオイルの摂取と肌
栄養価の高いヘンプシードオイルですが、食品として摂取することと皮膚との関連はあるのでしょうか。
実は、アトピー性皮膚炎の被験者へのヘンプシードオイルの経口摂取による皮膚への影響を調査した研究があります。
本研究では、ヘンプシードオイルの比較対象としてオリーブオイルを用いています。
各オイルに含まれる脂肪酸の大まかな組成は以下の通りです。
ヘンプシードオイルで特徴的なのはリノール酸とα-リノレン酸を3:1で含むことと、γ-リノレン酸(GLA)が含まれていることです。
本研究では、被験者の経表皮水分喪失(TEWL)を指標とした皮膚の水分量の測定や、乾燥やかゆみ、スキンケアに関するヒアリングなどを行っています。
結果、ヘンプシードオイルの摂取によって、TEWLは減少、乾燥やかゆみが改善、スキンケアの頻度が減少することが分かりました。
つまり、ヘンプシードオイルを摂取することで、肌環境が改善される可能性があるということになります。
オリーブオイルとの比較試験によって、ヘンプシードオイルに豊富に含まれる不飽和脂肪酸である、
・リノール酸
・α-リノレン酸
・γ-リノレン酸
が皮膚の状態改善に寄与しているのではないかと考察しています。
以下は、血中に含まれる各種トリグリセリド(脂肪酸がグリセリンに結合している状態)の分析結果を示していますが、オリーブオイルと比較して上述した3種の不飽和脂肪酸の濃度が8週間のオイルの摂取によって増加していることが分かります。
では、ヘンプシードオイルを肌に塗った場合はどうでしょうか?
次回の記事にて解説します✍️
参考文献
・日本人のための大麻の教科書「古くて新しい農作物」の再発見 , 大麻博物館, イースト・プレス (2021)
・ヘンプ読本―麻でエコ生活のススメ, 赤星栄治, 築地書館 (2006)
・JAMES CALLAWAY, et al., “Efficacy of dietary hempseed oil in patients with atopic dermatitis”, Journal of Dermatological Treatment., (2005), 16: 87–94
・Priyanka Baral, et al., “HEMP SEED OIL FOR SKIN CARE (NON-DRUG CANNABIS SATIVA L.): A REVIEW”, World Journal of Pharmaceutical Research, (2020), vol. 9, 8:2534-2556